+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−+ | 品 名 | 個数 | 購入場所 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−+ |2SC2630 | 1 |真光無線 | |2SC1815 | 1 |千石電商 | |2SB1375 | 1 |千石電商 | |10D1 | 2 |秋月電子 | |赤色LED | 1 |千石電商 | |緑色LED | 1 |千石電商 | |LM317T | 1 |秋月電子 | |100P 50V フィルムトリマ| 2 |千石電商 | |40P 500V フィルムトリマ| 1 |千石電商 | |68P 500V マイカ | 6 |鈴商 | |47P 50V セラミック | 2 |千石電商 | |330P 50V セラミック | 1 |千石電商 | |0.001uF 50V セラミック | 3 |秋月電子 | |0.01uF 50V セラミック | 9 |秋月電子 | |10uF 16V 電解 | 3 |秋月電子 | |39Ω 1W | 1 |千石電商 | |51Ω 1W | 1 |千石電商 | |220Ω 1/4W | 1 |千石電商 | |2.2KΩ 1/8W | 1 |千石電商 | |3.3KΩ 1/8W | 1 |千石電商 | |4.7KΩ 1/8W | 2 |千石電商 | |1KΩ 半固定VR | 1 |千石電商 | |フェライトビーズ | 4 |千石電商 | |ベーク生基板 | 1 |秋月電子 | |HB2−DC12V | 1 |T−ZONE| |電源スイッチ | 1 |千石電商 | |BNC−R | 2 |千石電商 | |3.5mmJACK | 1 |千石電商 | |放熱板(120×80) | 1 |千石電商 | |ケース(YM−130) | 1 |千石電商 | |1M3×10 ネジ | 14 | | |卵ラグ | 4 |シオヤ電気 | |ゴムブッシング | 1 |千石電商 | |0.8D−2V |50cm|小柳出電線 | |ビニール導線 |50cm| | |φ1mmポリウレタン線 | 1m |小柳出電線 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−+早速製作を開始しましょう。部品表に従ってパーツを集めます。少しくらい定数が異なっても問題ありません。近い値の物で代替しましょう。ただし、2SC2630、ローパスフィルタの68PFコンデンサは値を守って下さい。2SC1815は小信号NPNトランジスタなら何でも使えるでしょう。2SB1375も中電力PNPトランジスタで100mA程度コレクタ電流が流せれば可です。出力系のコンデンサの耐圧は500Vが望ましいのですが、50Vの物でもギリギリ大丈夫です。ただし、アンテナのSWRが高くて運悪く定在波の腹がコンデンサにかかるとパンクする恐れがあります。コネクタは使い勝手、軽量化を考えてBNCにしましたが、少しでもコストダウンしたい人はM型でもかまいません。ただし、コネクタの大きさがケースの高さいっぱいなので、少しでもケースの穴位置がずれるとコネクタが付きませんので工作精度に注意が必要です。ケースは指定の物よりも大きければ問題ありません。これより小さいと、それなりの自作の技術がないと難しいでしょう。リレーは高周波用が理想的ですが、この程度の周波数なら一般的な小信号用で使えるでしょう。ただし電力用リレーはダメです。基板はベークで構いません、というよりも作業性を考えるとベークの方がいいです。ガラエポだとガラス繊維のせいですぐにカッターや鋸、ドリルの歯がダメになってしまいます。また、薄い基板の方が加工が楽です。その他雑多な物としてはシリコングリス、エポキシ接着剤、瞬間接着剤等があります。参考のために筆者の購入場所も書き添えました。
一番面倒なのが放熱板及びケース加工です。また、出来上がったときの外観の良否に一番大きく関わりますので手を抜かないように。また工作精度も必要です。特に、放熱板にトランジスタの取付穴を開ける場合、フィンとフィンの間に穴位置が来ないと工作が大変です。今回使用した放熱板ではフィンの間隔が狭く、注意して穴を開けないと片方の穴がフィンに重なってしまいます。穴を開ける際は必ずトランジスタと現物合わせを行い、うまく取り付けられることを確認します。取付穴はφ2.5mmの下穴を開けてφ3mmのタッピングで仕上げます。私が使った放熱板では4隅に穴が開いていたのでケースとの取付穴を開ける必要はありませんでした。ただし、穴径がφ3.5mmなので3mmのタップを切ることができず、若干の手間がかかりますがナットで固定します。もちろん4mmのタップを立てて4mmネジで固定しても構いません。
放熱板の加工が終わったら次はケース加工です。放熱板をテープ等でケースに仮止めし、4隅の穴に合わせてケースとの固定用穴を開けます。そしてトランジスタの取付位置を確認し、トランジスタが直接放熱板に取り付けられるように四角く穴を開けます。ケースのアルミ板を介して放熱板に接触させるよりもこの方が良好な放熱効果が得られます。穴を開けたらトランジスタがきちんと取り付けられるか(穴位置のズレが無いか)現物で確認します。前面には電源表示と送信表示のLEDの穴を開けます。一般的なLEDの直径は5mmです。背面は入出力のコネクタ、電源スイッチ、電源ケーブル、外部スタンバイジャックの穴を開けます。ただし、FT-690、ピコ6、もしくはDC重畳に改造したFT-690mk2を親機に使用する場合は外部スタンバイジャックは不要です。それぞれ現物と合わせながら作業します。終わったらバリを取っておきましょう。
次に基板の加工です。まず、ケースに入りきる大きさに基板を切断します。金鋸でも構いませんが、ベーク基板ならPカッターで充分切断できます。ギリギリの大きさだと作業時の誤差でケースに入らないこともありますので、少し小さめにします。そして放熱板のトランジスタ取付穴に合わせてトランジスタのパッケージの形状に取り付け穴を開けます。これを開けないとトランジスタが基板に邪魔されて放熱板に取り付けられません。四角い穴を開けるのは面倒ですが頑張って下さい。これも現物あわせで行います。トランジスタの取付穴開けが終わったら基板をテープ等でケースに仮止めして、放熱板とケースの取付穴に合わせて穴を開けます。 これでケース加工はおしまいです。基板もバリを取り、スチールウールで表面を磨いてフラックスを塗り乾燥させます。
もう一つ準備。データを参考に空芯コイルを巻きます。組み立てた後で調整が効くのでさほど精度は必要ありません。寸法に神経質にならずに気楽に作って下さい。バイアスのRFCはフェライトビーズに電線を3回通して作ります。各コイルとも足の部分は導線の被覆を削って予備半田して下さい。
入力部のクローズアップ
出力部のクローズアップ
さて、いよいよ基板の半田付けです。図を参考にしながら、現物に合わせながらランドを貼り付けて半田付けしていきます。最初に2SC2630を半田付けし、ここを基準に回りの部品配置を決めます。トランジスタを半田付けするときには、放熱板やケースの穴位置に合わせる必要があるので、放熱板、ケース、基板を借り組みし、トランジスタを放熱板にネジで固定してからエミッタを基板に半田付けします。基板単体でトランジスタを半田付けしてしまうと、ケースに組み込んだときにトランジスタのネジ穴と放熱板の穴がずれてネジが入らない!なんてことになります。それとトランジスタの向きにも注意して下さい。逆に付けても構いませんが、その場合は周辺の部品も逆になります。ここまでやったらケースから基板を外して作業します。位置の精度が必要なのは2SC2630の穴だけです。
トランジスタを固定したらコレクタ、ベースの部分にランドを張り付け、半田付けし、周辺の部品を順次半田付けします。空芯コイルは相互結合を避けるためにできるだけ距離を離すように配置します。直角に配置するのも有効です。これを守らないとスプリアスの増加や自己発振の原因となります。バイアス部の10D1は、2SC2630の上面に接触させて、シリコングリスを塗って熱的に結合させます。LM317には小型の放熱板を取り付けて下さい。抵抗、コンデンサ等の部品の足はできるだけ短くカットして、最短距離で半田付けして下さい。安定動作の秘訣です。部品を取って再利用しよう、なんて考えて足を長めにしてはいけません。動作不良のトラブルに泣かされます。イモ半田にも注意。また、時々ケースに入れてみて、部品がコネクタやスイッチに当たらないか確認して下さい。リレー周囲の配線はケースに組み込む段階で行いますのでまだ行わないで下さい。図に示した範囲を組み立てます。
図のように接続し、690をFMモードにして、自分のよく使う周波数に合わせます。2.5Wで送信し、SWR計の表示は無視してパワーメータだけ見ながら、入力マッチング回路の2つのトリマ、続いて出力マッチング回路の2つのトリマを、出力が最大になるように調整します。もし、トリマの羽がいっぱいに入ったり、逆に抜けきったところで最大パワーになる場合は、コイルを延ばしたり縮めたりして、もう一度調整します。どうしてもうまく行かないときにはトリマと並列に入っている固定コンデンサの値を増減したり、コイルの巻き数を1回増減させて再調整します。ほとんどの場合はコイルの巻き数を変更する必要はないはずです。うまく調整できれば40W近く出ます。なお、調整中はまだアンプのSWRが高い状態で、親機に悪影響を与えますので、できるだけ短時間の送信で調整して下さい。
次にSWRメータを見ながらSWRが最低になるように入力の2つのトリマを調整します。若干パワーが落ちますが、仕方ありません。SWRは悪くても必ず1.1以下にできます。
以上の調整は、まだバイアス電流を流していませんのでブースターとしての動作ですが、いよいよリニアアンプとしての調整に入ります。とは言っても今までの調整でほとんど終わっています。まず、LM317近くの半固定抵抗を真ん中付近に設定します。出力側のRFCを外して電流計モードにしたテスタを接続します。2SC1815のベースに5KΩの抵抗を仮に半田付けし、抵抗を電源と接続します。するとテスタに電流が流れます。この電流値が400mA程度になるように半固定抵抗を調整します。調整できたらRFCを元に戻します。
電源を再投入してパワーメータの振れを見ます。このとき、リグは受信状態のままにして下さい。当然ながら、入力がないので出力も無いはずですが、もしパワーメータの針が振れていたらアンプが発振している証拠です。きっと電流計の振れも大きいでしょう。このままでは使えないので、ベース側の抵抗を小さくしたり、パスコンのセラミックコンデンサを追加したり、入力側のRFCと並列に1kΩ程度の抵抗を入れたり、トランジスタ上に入出力を分離するようにシールド板を立ててみます。でも、図のように部品配置を真似すればたぶん発振はしないでしょう。オリジナルの部品配置は、発振しにくいように考慮して決定していますし、私の実験環境では10台製作して10台とも発振しませんでした。
発振しないことが確認できたらFT-690を送信状態にして、パワー最大、SWR最低になるようにトリマを再調整します。でも、今までの調整でベストポイント近くにあるはずで、ほとんどトリマを回す必要はないでしょう。パワーはさっきよりも若干増えて40W以上出るはずです。
ここまでくれば、全体の90%は完成したようなものです。基板単体は立派なリニアアンプとして動作しました。
調整の完了した基板をケースに組み込みます。要所に小型コネクタを使用すれば簡単に基板をケースから取り外せるようにできますが、コネクタ代がバカにならないので、直接ケーブル等を半田付けします。したがって、修理で基板を取り出すには何カ所も半田を外さなくてはいけないので、作業は慎重に行います。
まずケースにコネクタを取り付け、そして基板を組み込みます。最初に基板を固定してしまうとコネクタが基板上の部品に当たって入らないことがあります。ケース内にあまり隙間が無いのが原因ですが、小型化のためには我慢です。基板を固定したら電源スイッチ、LEDを取り付けます。送受切換リレーは銅テープでシールドしましたが、たぶんしなくても問題ないでしょう。ただ、シールドするとピンの近くまでGNDがくるので、同軸ケーブル等の半田付けの時に楽になります。コネクタのアース側は、卵ラグで基板のGNDと接続します。同軸ケーブルの外皮に頼るよりも、しっかりした接続ができます。内部配線用の同軸ケーブルは0.8D-QEVを使って下さい。1.5D-2Vでもいいですが曲げ半径が小さくできず、配線に苦労します。大した距離ではないので損失も気にならず、0.8D-QEVの方が作業性が大幅にアップするのでお奨めです。
作業が終わったら配線ミスがないか入念にチェックして下さい。ここまでできたのに壊したのでは泣けてきますよ。
(1) アンプの放熱板は、山岳移動でのSSB運用に必要な最小限の大きさです。気温の 高い場所やFMで長時間運用するときには過熱に注意して下さい。 (2) 誤って10Wを入れるとトランジスタを破壊する恐れがあります。ドライブ電力には十分 注意して下さい。 (3) 内部は電源逆接続保護ダイオードにより保護されていますが、逆接続するとダイオード が導通して電源ケーブルには非常に大きな電流が流れ、ケーブルが燃える恐れがあり ます。 必ず外部に6〜10Aのヒューズを入れて下さい。 (4) 一応ローパスフィルタが入っていますが、人家のない山岳運用用に作っています。 スプリアス抑圧が充分であるといえるか不明ですので、固定で使用する場合は ローパスフィルタを外付けすることを推奨します。もしくはトロイダルコアを使用したフィルタを 内部に追加して下さい。 (5) 小型化/低コスト化のために高周波系のコンデンサの耐圧にはあまり余裕がありませ ん。アンテナのSWRが高いと定在波がコンデンサの耐圧を越えて故障の原因となります。 極力、アンテナのSWRは低く保って下さい。