FUNcubeDongle Pro Plus

「FUNcube Dongle Pro Plus」は、USBスティックのSDR(ソフトウェア無線)受信機です。このUSBスティックはイギリスのアマチュア衛星FUNcubeからの電波を誰でも簡単に受信できることを目標に開発されたハードウェアです。アマチュア衛星FUNcubeプロジェクトは、教育分野へ貢献が重要な目的の一つとなっており、リーズナブルな価格で技術的に未熟な人々でも簡単に使用できるデバイスとして、ハワード・ロング(G6LVB)氏が開発し、販売もしています。

このハードウエアの魅力は、専門家でなくとも扱える簡単さと、価格の安さにあります。海外発送にも対応しています。
「FUNcube Dongle Pro Plus」は「FUNcube Dongle Pro」(受信周波数が 64MHz〜1.7GHzでサンプリング・レートが96kHz)」の後継機で受信周波数が 150kHz〜1.9GHz(240MHz〜420MHzを除く)でサンプリング・レートが192kHzと大幅に機能アップされています。この1台でラジオ放送から衛星の電波まで受信できます。
一般にSDRでは、サンプリング周波数と同じ幅の周波数帯域を受信できますので、サンプリング周波数が192kHzですと50.200MHz±96kHz:50.104MHz〜50.296までを同時に受信できます。

■FCD+ スペック
Specifications
  Frequency range: 150kHz-240MHz and 420MHz-1.9GHz
  Sensitivity: Typically 12dB SINAD NBFM for 0.15uV at 145MHz
  Reference oscillator: 1.5ppm 26MHz
  Sampling rate: 192kHz
  Bit depth: 16 bits (32 bits used internally)
  PC interface: USB 1.x Male A Full Speed (12Mbps)
  RF interface: Standard SMA female (not Reverse Polarity [RP])

■FCD+の入手方法
1) 日本に代理店がありませんので、FUNcube Dongleのホームページから直接商品を注文します。 <注文サイト>
支払いは PayPal で行います。在庫があれば1週間程度で到着します。
2) FCD+の到着
 
 
名刺ケース大のケースに入ったUSBスティック(FUNcubeDongle Pro Plus )と資料等はHPから落としてねと書いたレターが入った封筒がロンドンから送られてきました。
その後FedEX から税金の請求が・・・

■FCD+のセットアップ
FUNcubeDongle Pro Plus はパソコンからはUSBの複合ディバイス(サンプリング周波数192kHzのサウンド・ディバイス。各種制御用のHuman Interface Deviceクラスの2つから構成されています)と見えます。サウンド・ディバイスならびにHID(Human Interface Device)はOSに標準搭載されているディバイス・ドライバで動作しますので、USBに FUNcubeDongle Pro Plus を指すと自動認識が始まりディバイス・ドライバが自動的に設定されます。

次に FUNcubeDongle Pro Plus の初期設定です。入手した FUNcubeDongle Pro Plus には古いファームウェアが書き込まれている事がありますので、これを最新のものに書き換えるために、 FUNcubeDongle Pro Plusのホームページから制御用のソフトを入手します。 FUNcubeDongle Pro Plusをコントロールするにもこのソフトは必要です。

 1)FCD+ Frequency Control Program v2.002 (FCD+を制御するプログラム:FCHID2.002.exe)
 2)FCD+ Bootloader Program v2.001 (FCD+のファームウェアの書き換えツール:FCHIDBL2.001.exe)
 3)FCD+ firmware image  (最新のファームウェアを入手:FCD2.20.03.pro.bin)
        ※各プログラムは 2013/09 時点の物です

ソフトをダウンロードしたらファイルを解凍して適当なディレクトリにセットします。

1)FCHID2.002.exe起動時 2)Reset to bootloade を押すと 3)FUNcube Dongle Bootloader

FUNcubeDongle Pro Plus のディバイス・ドライバの設定が終わったら FCDを制御するプログラム:FCHID2.002.exeを実行します。
そうすると「1)の画面」がでてきます。この画面がでれば FUNcubeDongle Pro Plus をソフトから認識できた事になります。認識に失敗すると右上の画面にエラーが表示されます。

次に FUNcubeDongle Pro Plus をブートローダ・モードにするために画面の右下にある「 Switch to bootloader 」ボタンを押します。すると画面に「Success, FCD reset to bootloader」と表示しますがすぐ「2)の画面」のようなエラーが表示されますが、設定はOKですので:FCHID2.002.exeを終了します。

そして FCD+のファームウェアの書き換えツール: FCHIDBL2.001.exe を起動すると、「3)の画面」が表示されますので
   1.「Open file」 ボタンをクリックしてダウンロードしておいたファームウェア(FCD2.20.03.pro.bin)を指定します。
   2.「Write firmware」 ボタンをクリックしてファームウェアの書き込みを行います。
   3.書き込みが終了したら「 Reset to app」 ボタンをクリックしてアプリケーション・モードに戻します。「3)の画面」が表示されればOKです。
これでセットアップは終了です。

注意!
私の環境(Windows XP)では、どうしても「Success, FCD reset to bootloader」が表示されず、FCD+のファームウェアの書き換えツール: FCHIDBL2.001.exe を起動しても何も動作しませんでした。
色々調べた結果、このソフトは「.NET Framework」を使用しているらしく、このライブラリーが古いと動作しない事をつきとめました。そこで「.NET Framework」の最新版にしてみたところ動作するようになりました。同じようにエラーになる方は「.NET Framework」ライブラリを確認してみてください。

<蛇足ですが>
FUNcubeDongle Pro Plus をPCに接続するときに、USBの延長ケーブルで繋いだ方が取り回しが楽なのでお勧めです。

■SDRソフトのセットアップ
SDRプログラムにも色々ありますが、KX3で使ったHDSDRを使ってみました。このソフトはインターフェース用のライブラリを設定する事で FUNcube Dongle Pro Plus を直接制御する事ができますので便利です。

まずHDSDRのホームページ「http://www.hdsdr.de」に行き、次に「Haedware」ページに移動し FUNcube Dongle Pro Plus用の制御用ライブラリ(ExtIO_FcdProPlus.dll)をダウンロードしてそれをHDSDRのプログラムがセットされているディレクトリにコピーします。

「HDSDR」は接続する機器毎に環境情報を保持することが出来ますので、 ディクトップにセットされたHDSDRのアイコンのプロパティーを変更してパラメータの設定をお勧めします。

  ExtIO_FcdProPlus.dll -P: 環境ファイル名

このパラメータを設定してソフトをスタートすると、FUNcubeDongle Pro Plus 用の設定ファイルを作ることができます。


設定は左下にあるメニューを順番に設定します。
  • @Sound Card selection
    RX Input from Radio として 「FUNcubre Dongle V2.0 」を選択。
    RX Output (Speaker)はスピーカ出力する通常のサウンドカードを選択。

  • ASamplingRrate
    Input を 「192000」
    Outputを 音声信号(1200bpsのパケット信号を含む)の復調の場合は「12000」に設定します。それ以上の帯域の信号を復調する場合には 24000、48000、96000、192000から選択します。この設定の半分の値が復調できる最大周波数(24000に設定した場合は12kHz)になります。

  • BOptions
    Select Input に 「FunCubeDongle Pro Plus」を選択します。
    その他のオプションはディフォルト値で動作します。


表示画面ですが、デォフォルトでは上部に「Input」信号が表示され、下部に「Output」信号が表示されます。表示される周波数帯域は上記Aの「Sampling Rate」で設定した幅になります。
そしての表示画面はA: spectrum 表示 B: waterfalls 表示となります。(下記の画面は環境設定でspectrum と waterfalls がディフォルトとは反対に設定されています)


A:  スペクトラム表示
   Input に「192000」を指定しているので、192kHz幅で信号強度にあわせた波形表示がされます。これを見れば現時点のバンドの状態(込み具合)が解ります。上の写真の山になっている所が誰かが運用しているかノイズと言う事になります。

B:  ウォーターフォール表示
   Input に「192000」を指定しているのでスペクトラム表示と同じように、192kHz幅で信号強度に合わせ色で電波の強さを時間軸で表しています。上の写真のオレンジ色になって居る所が強い信号を受信している場所です。ウォーターフォールは時間軸で表示していますので、信号が途切れても表示が暫く残ります。表示幅は電波形式の帯域になりますので、その幅より広範囲がオレンジ色になっているところは混信している場所になります。

1: ウォーターフォールのブライトネス調整
2: ウォーターフォールのコントラスト 調整
   ブライトネス&コントラストを調整してウォーターフォールの見え方を調整します。

3: ウォーターフォール/スペクトラムの分解能調整 (マイナス⇔プラス)

4: ウォーターフォール/スペクトラムのFFT平均ライン数の調整

5: スペクトラムのスケーリング調整
6: スペクトラムのミニマムレベル調整
   スケーリング&レベルを調整してスペクトラムの見え方を調整します。

7: スペクトラム周波数カバー範囲のズーム調整
   右にするほど解像度が高くなります(スペクトラムを広く表示します)
  
8: ウォーターフォール/スペクトラムの速度調整 


ほるす(後藤 @ JR1NNL )